「新幹線通勤をしたいけど、体への影響が心配」「新幹線通勤をしているけど、なんだか疲れる」実際に通勤している人の意見を聞いてみたい!
今回は第三者の情報ソースを織り交ぜて、新幹線通勤・通学歴10年の私が実体験をベースにお伝えします。
私の個人的な結論は以下です:
- 毎日通勤利用しても、体への影響は大きくない
- いろいろな業界団体がポジショントークをしているので、情報を総合的にみて判断してほしい
- 最良の対策は「窓にもたれかからない」こと
では順を追って説明させてください。
もくじ
新幹線の電磁波による体への影響
実際に測定された方のデータ引用
ここではNaruさんという電磁波測定師1級の資格を持っている方の実データを引用させていただきます。のぞみN700系で電磁波の測定を実際にされていたのですが、記事を要約すると以下の表となります。(出典:Naruさん)
※mG(ミリガウス)、μT(マイクロテスラ)のことで、「1mG=0.1μT / 1μT=10mG」となります。
通路側座席 | 窓側座席 | 窓ガラス付近 | 安全基準(日本電磁波協会) | |
停止時 | 0.8mG (0.08μT) | 1.9mG (0.19μT) | (no data) | 2.5mG(0.25μT) |
低速運転時 | 4.5mG (0.45μT) | 5.9mG (0.59μT) | (no data) | |
中速運転時 | 低速運転時と大差なし | 低速運転時と大差なし | 15.9mG (1.59μT) | |
高速運転時 | 低速運転時と大差なし | 低速運転時と大差なし | 76.3mG (7.63μT) | |
高速運転Max値 | 低速運転時と大差なし | 低速運転時と大差なし | 110mG (11.0μT) |
この数値だけを見ると、なんと安全基準値の44倍もの電磁波(磁界)が発生していたことになります。とてつもなく恐ろしい結果ですね。
ところで、この安全基準はどこから来たのでしょうか?
ガイドライン(安全基準)はバラバラ
深堀する前に、ガイドラインについてもう一つの例を紹介させてください。電磁界情報センターが提唱している国際的ガイドラインは2000mG (200μT)です。
なんと2つの機関が軸としているガイドラインには800倍もの開きがあります。仮に電磁界情報センタの数値を信じるとなると、今回の測定でMax値だった110mGは、安全基準値の5.5%に相当します。
この数字を信じるとなると全然大したことはありません。
通路側座席 | 窓側座席 | 窓ガラス付近 | 安全基準(日本電磁波協会) | 安全基準(電磁界情報センタ) | |
停止時 | 0.8mG (0.08μT) | 1.9mG (0.19μT) | (no data) | 2.5mG(0.25μT) | 2000mG (200μT) |
低速運転時 | 4.5mG (0.45μT) | 5.9mG (0.59μT) | (no data) | ||
中速運転時 | 低速運転と大差なし | 低速運転と大差なし | 15.9mG (1.59μT) | ||
高速運転時 | 低速運転と大差なし | 低速運転と大差なし | 76.3mG (7.63μT) | ||
高速運転Max値 | 低速運転と大差なし | 低速運転と大差なし | 110mG (11.0μT) |
ガイドラインのソース
2つのガイドラインについて以下のように述べられています。尚、私はこの分野の専門家ではないので、数値の是非は問いません。
個人的な意見ですが、電磁波の強度(mGやμT)だけではなく、電磁波の総量(強度×時間)が重要なのかと思っています。例えば、毎日20時間を過ごす住環境+オフィス環境と、2時間しか過ごさない通勤環境では影響度が全然異なります。
日本電波協会(EMFA)
■ 安全基準の根拠
①MPR-II(スウェーデン:VDT電磁波規制ガイドライン)
交流電場:25V/m以下
交流磁場:2.5mG以下スウェーデンで1990年に策定されたパソコンのモニターから発生する電磁波に対する安全基準。欧州をはじめ、電磁波対策を打ち出している多くの国・組織などで策定する安全基準の基礎とされています。EMFAでは、モニターから発生する電磁波(極低周波)とその他の家電製品や電気配線から発生する電磁波が同周波数帯であることから、住まいの電磁波環境も同様にあるべきと考え、基準策定のベースとしています。
https://emfa-japan.or.jp/services/safetyguide/
日本電波協会は、スウェーデンのMPR-II(VDT電磁波規制ガイドライン)をベースにしているようです。この数値は長時間を過ごす住環境が前提のようですね。
電磁界情報センタ(IEIC)
ICNIRP および諸国の超低周波の電界および磁界に関する規制・ガイドライン
制定年 電界 磁界 KV/m 区分 μT 区分 国
際
レ
ベ
ルICNIRP1) 2010年 5.0(50Hz)
4.2(60Hz)ガイドライン 200(50Hz)
200(60Hz)ガイドライン 国
レ
ベ
ル日本 1976年
(電界)
2011年
(磁界)3 規制 200
(50/60Hz)規制 韓国 1989年 3.5 告示 83.3(60Hz) 告示(2004年) 米国 - - - - ドイツ 2013年 5 規制 100(50Hz) 規制 スイス 2000年 5 規制 100(50Hz)3) 規制 フランス 2001年 5 規制 100(50Hz) 規制 スウェーデン 2002年 5 規制 100(50Hz) 規制 イタリア 2003年 5 規制 100(50Hz)3) 規制 英国 2011年 9 基準 360(50Hz) 基準 規制:法規にもとづいた義務的な基準
ガイドライン・勧告・基準:法的な拘束力を持たない自発的な基準・方針
告示:法的拘束力あり
https://www.jeic-emf.jp/explanation/1039.html
電磁界情報センタは、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が定めたガイドラインをベースにしているようです。
他の国では100μT(1000mG)としている国が多いようですが、それでもNaruさんの測定したMax値の110mGは安全基準値の11%となります。
実体験から言えること
約10年の新幹線通勤・通学経験者の立場から個人的な見解を述べますと、新幹線の電磁波がもたらす体への影響は大したことはないです。
新幹線が原因で明らかな不具合は出ていません。
私は割と頭痛もちなのですが、長期休暇やリモートワークをしているときに体調が良いかと言われるとNOです。
一つ言えることは、「東京都内で在来線通勤していたときは、あきらかに疲労度が高かった」ということ。
具体的には、満員電車によるプライベートゾーンの侵害、通勤時間を有効に使えないストレス、車内の空気の息苦しさ、地下鉄のカビ臭などが体に及ぼす悪影響が大きいと確信しています。
実体験では語れないことの見解
私のケースでは大丈夫でした。ですが、電磁波による体調への影響は個人差があります。一部の人々は、新幹線での長時間の移動中に頭痛やめまい、不安感、疲労感を感じることがあるようです。これらの症状は、電磁波過敏症と呼ばれているみたいです。
電磁波過敏症とは?
電磁波過敏症は、電磁波に対して過敏に反応する症状のことで、WHO(世界保健機関)によっても認められています。ただし、症状の原因が電磁波によるものかどうかは、まだ科学的に明確に証明されていません。
新幹線通勤で疲れないためのコツ
私が新幹線に乗る際に心がけていることをお伝えさせていただきます。
窓にもたれかからない
これが最重要項目だと思います。もう一度表をご覧いただきたいのですが、窓ガラス脇だけ突出して数値が高いです。
たまに窓にもたれかかったまま寝ている方が見受けられますが、電磁波の影響を避けたいのでしたらおすすめはできません。
通路側座席 | 窓側座席 | 窓側ガラス付近 | 安全基準(日本電磁波協会) | 安全基準(電磁界情報センタ) | |
停止時 | 0.8mG (0.08μT) | 1.9mG (0.19μT) | (no data) | 2.5mG(0.25μT) | 2000mG (200μT) |
低速運転時 | 4.5mG (0.45μT) | 5.9mG (0.59μT) | (no data) | ||
中速運転時 | 低速運転と大差なし | 低速運転と大差なし | 15.9mG (1.59μT) | ||
高速運転時 | 低速運転と大差なし | 低速運転と大差なし | 76.3mG (7.63μT) | ||
高速運転Max値 | 低速運転と大差なし | 低速運転と大差なし | 110mG (11.0μT) |
通路側+車両中央を選ぶ
上記の通り、通路側は窓側座席と比較して数値が低いです。また、一番多く電磁波を発生する場所はモータと仮定すると、車輪+モータがある車両の前方・後方の磁場が強い可能性は高いです。
悩まない(病は気から)
こちらも重要です。思考が免疫系(免疫細胞等)に及ぼす影響について、因果関係が多くの論文で出ています。つまり、電磁波の影響を気にするだけで、体に何らかの不調をきたす可能性が高いです。
例えば、私が電磁波について深く調べ始めたとき、実際に頭痛や気持ち悪さを感じた時期がありました。なにか良くわからないもやもやした感じです。そこで思い違いかもしれないと思って思考を切り替えるようにしたら、翌週にはなにも感じなくなりました。
改めて人間(私)って単純だなと思った次第です。。。
電磁波対策グッズの利用
目的が「電磁波による体の不調を減らす」とすると、電磁波対策グッズは非常に有効だと感じています。
私は科学的根拠のあるものを信じるので、いくつかの電磁波対策グッズには懐疑的ですが、前述の通り「だるさ、めまい、眠気、頭痛」といった症状を緩和する目的で、対策グッズを持つことは大変理にかなっています。
まとめ
今回は新幹線乗車時における疲れの原因について、電磁波の影響を考察してみました。
一つの情報ソースだけを見てしまうと、「かなり危険じゃん!」or 「全然安全じゃん!」と偏った考えになってしまうので、複数のソースを参照しつつ、次回新幹線に乗る際は、
- 窓に頭や体をもたれかけない
- 座席が空いていれば通路側かつ車両中央に座る
- 電磁波に対して、無駄に悪いイメージを抱かない
ことを意識して頂ければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考文献・サイト
https://www.jeic-emf.jp/railroad.html
https://www.jeic-emf.jp/electromagnetism.html
https://www.jeic-emf.jp/assets/files/pdf/faq/WHO_Factsheet_All.pdf
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/e_health/data/denjikai_2011.pdf
https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/ele/body/emf_pamphlet.pdf